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© 住宅での受動喫煙被害を考える会・兵庫

第4次兵庫県受動喫煙防止対策検討委員会・第1回委員会の資料からわかること

2024(令和6)年3月7日(木)、第4次兵庫県受動喫煙防止対策検討委員会の第1回委員会が兵庫県生田庁舎3階A会議室で開催され、当会も傍聴しました。
委員会の資料を基に、兵庫県(以下、県と略す)が受動喫煙対策をどう捉えているか、アンケート結果から県民が今後期待する対策はどのようなものか、住宅関連を中心に見ていきたいと思います。

【本資料一式】からわかること

県は健康増進法の改正と新型コロナ感染症の流行によるテレワークの増加を受けて、マンションや戸建て住宅向けに喫煙の配慮を依頼するポスターを2021(令和3)年度に作成 しています(10頁)。

資料では、このポスターについて「集合住宅のベランダや戸建て住宅の庭先等での喫煙による、意図しない受動喫煙を防止するため、喫煙者に配慮を促すポスターを作成し、不動産関連団体等に配付している」とあり、県のホームページにはポスターのダウンロードリンクも掲載されています。
そして、

なお、本ポスターについては管理組合、自治会または管理会社等ともご相談の上、ご活用ください。直接投函するなどの方法は、トラブルの元になる場合もありますので、避けましょう。

と注意喚起しています。
つまり、「県は、住宅での受動喫煙問題が、進め方次第では住民間のトラブルになりかねないと認識している」ことになります。

【参考資料一式】からわかること

参考資料10ー2に第2回県民モニターアンケート調査「受動喫煙対策について」の調査結果があります。
こちらの調査結果は県のホームページにも掲載されています。
では、住宅に関係する設問・回答を見てみましょう。

Q3では、[Q2]で「(あなたは、この1ヶ月間に受動喫煙の被害に)あった」と回答した人751 人(42.2%)に対し、「どのような場所で受動喫煙にあいましたか(いくつでも選択可)」という質問をしています。
回答の上位4番目に

集合住宅のベランダや庭など居住空間屋外 6.7%(2020年調査時 7.3%)

が入っています。丸囲みされていないことから、県としては重要度が低いと判断しているのではないかと推察しますが、選択肢にないにもかかわらずまとまったポイント数として可視化された場所は、「集合住宅のベランダや庭など居住空間屋外」のみで、それが上位4番目に入っているのです。
つまり、「集合住宅のベランダや庭など住居空間屋外」は、多くの人が受動喫煙に遭う場所ではないものの、「その他」の記入欄に具体的に記入するほど困っている人がそれなりにいる、と言えるのではないでしょうか。
具体的記入例としては、「庭の手入れをしていたら、隣人が庭に出て喫煙したため受動喫煙に遭った」「ベランダに出たら、階下でタバコを吸っており受動喫煙に遭った」などが考えられます。このような場合、タバコ煙の発生源と相当距離が離れていないかぎり、室内にタバコ煙が流入している可能性も否めません。

また、上位6番目に

自宅 3.9%(2020年調査時 3.3%)

が入っています。
この場合、「同居人または来客の喫煙によって自宅内で受動喫煙に遭った」というケースが大多数かと思われますが、なかには「近隣の喫煙によって自宅内にタバコ臭が流入し受動喫煙に遭った」というケースも含まれているのではないか、という推測も可能です。

そして、Q13では、今後県に期待する受動喫煙対策を複数選択可で質問しています。
住宅に関係する回答は

集合住宅のベランダや個人住宅の庭など屋外私的空間での受動喫煙対策強化 35.0%(2020年調査時 30.2%)

受動喫煙被害に係る相談体制の整備 26.8%(2020年調査時 19.4%)

となっています。

兵庫県受動喫煙の防止に関する条例では、規制の範囲は屋内私的空間にも及んでいます(罰則なし)。
ただし、保護の対象が子どもと妊婦に限られているため、保護の対象を健康増進法に合わせて受動喫煙を望まない人に広げ、隣室や近隣から私的空間を越境してタバコ煙が漂ってくることを考慮して規制の範囲を広げることができれば、住宅での受動喫煙問題も展望が開けてくるかもしれません。

また、施設の場合、自治体が受動喫煙対策や被害の相談窓口を設け、保健所が対応する体制が十分とは言えないまでも整えられています。しかし、住宅での受動喫煙被害の場合、対応する部署も定まっておらず、行政が介入することは稀です。
施設同様、住宅での受動喫煙被害の相談にも対応でき、適切な介入ができる体制を整えることが必要です。

ただし、県は「令和7年度に厚生労働省が予定する改正健康増進法の見直し検討の方向性を踏まえて、条例の見直しも含め、2カ年にわたり、今後の受動喫煙防止対策のあり方について検討、議論する」(案)としています。
おそらくほかの自治体も、多かれ少なかれ似たような静観姿勢で臨んでいると考えられまので、まずは厚生労働省に見直しの検討に入ってもらうことが重要です。

当会では、厚生労働省に健康増進法の見直しの検討を求めるオンライン署名を行っています。

住宅での受動喫煙被害をなくすため、
健康増進法の見直しの検討を厚生労働省に
求めます

賛同のご意思と応援の声を署名にお寄せいただき、当会の活動を後押ししてください。