住宅での受動喫煙や吸殻の投げ捨てなど、タバコ問題は海外でも存在しています。
今回は、韓国の事例をご紹介します。
韓国と日本のタバコ事業の違い
2002年まで、韓国は日本と同様にタバコ事業が国営で、専売制が布かれていました。
しかし、この年にタバコ事業を独占していた韓国煙草人蔘公社からタバコ事業が切り離され、タバコ製造会社KT&Gとして完全民営化されました。
一方、日本では、専売制廃止後も財務大臣が日本たばこ産業(JT)を監督し、さまざまな許認可権を持っています。
また、日本政府は日本たばこ産業が発行している株式の総数の三分の一を超える株式を保有するよう、日本たばこ産業株式会社法で定めています。
多くの人は日本たばこ産業があたかも完全民営化されたかのように思っているようですが、その実態は完全民営化されていない特殊法人なのです。
韓国のタバコ規制
韓国のタバコ規制は、1995 年 1月に国民健康増進法が制定されたことを契機として本格的に開始されたようです。
日本では、2020年の東京オリンピックを前に健康増進法が改正されてタバコ規制が前進しましたが、韓国でも、2018年の平昌オリンピックを挟み国民健康増進法は段階的に改正され、規制が強化されています。
さらに知りたい方のために
タバコ規制違反は「罰金50万円超」〜五輪にわく韓国(石田雅彦、ヤフーニュース、2018.2.6)
日本に先がけ韓国で「加熱式タバコ」の増税案が可決(石田雅彦、ヤフーニュース、2017.11.13)
サンジのタバコが飴玉に〜韓国テレビ界は「喫煙シーンNG」(石田雅彦、ヤフーニュース、2017.8.9)
韓国に学ぶ、受動喫煙対策のカギ(石田雅彦、ヤフーニュース、2017.7.28 )
韓国の共同住宅管理法
韓国には、共同住宅管理法(以下、法と略す)という法律があり、間接喫煙(受動喫煙、以下同じ)に関する規定も設けられています。
入居者等はバルコニー、トイレ等住宅内での喫煙により他の入居者等に被害を与えないように努めなければならず(法20条の2第1項)、間接喫煙により被害を被った入居者等は、管理主体に間接喫煙発生事実を報告し、管理主体が間接喫煙被害を及ぼした当該入居者等に対し、一定の場所で喫煙を中断するよう勧告することを要請することができ、管理主体は、事実関係確認のために住居内の確認等必要な調査を行うことができる(同条2項)。管理主体は入居者等を対象に間接喫煙の予防、紛争の調整のための教育を実施することができ(同条4項)、入居者等は、間接喫煙による紛争の予防、調整、教育等のために自治的な組織を設置して運営することができる(同条5項)というもの*1です。
日本と異なるのは、法が適用される共同住宅の管理規約の準則を定めるのは広域自治体の長で、この準則を参照して入居者が管理規約を定めていることです。この準則が、日本における標準管理規約にあたります。そのため、地域で準則の内容は異なります。

韓国・ソウルのアパート
2021年に改正されたソウル特別市共同住宅管理規約準則では、第10章「管理主体の業務及び責任」に間接喫煙の防止等(第97条)、間接喫煙紛争調整手続等(第98条)があり*2、間接喫煙がいじめ(第89条の2・3)・騒音(第93条~第96条)と並び、住民間の紛争の原因となっていることがわかります。
*1 マンションの管理法制 第4章韓国のマンション法(周藤利一、マンション学第72号、2022.12)
*2 同上
住宅でのタバコ問題

韓国・チョナンのマンション群
韓国では、共同住宅内において他の住居から間接喫煙に遭うことを「層間喫煙」と呼び、10年以上前から問題になっているようです。
上階騒音で殺人事件まで起きているのに、層間喫煙は?(ハンギョレ新聞、2014.7.9)
社説 層間喫煙も紛争レベルでのアプローチを(国民日報、2014.7.10)
しかし、この後、2015年に成立したのが先述の共同住宅管理法で、共同住宅内での層間喫煙問題を重く見て、間接喫煙は紛争調整の対象になりました。
法では、管理主体に一定の権限を与え、間接喫煙も騒音と同様に紛争として扱い、対応するよう求めています。
しかし、住宅の管理に関する法律の整備が日本よりも進んでいるとはいえ、現在も住宅でのタバコ問題は頻発しているようです。
ヤニまみれ、衝撃の“黄土部屋”…韓国・清掃業者が警鐘鳴らす「室内喫煙の恐怖」(KOREA WAVE、2025.2.28)
「階段での喫煙」が警察沙汰…韓国・5年続く迷惑行為、被害住人「我慢の限界」(KOREA WAVE、2025.1.29)
韓国・禁煙マンションなのにトイレからたばこの煙が…出所特定できず、被害住民が悶々(KOREA WAVE、2024 .2. 9)
「父は97歳、足腰が不自由、室内喫煙を許して」…韓国・マンション住民のメモ、多くの批判と一部の理解(KOREA WAVE、2024.10.6)
韓国・失われたマナー…マンション上階から吸い殻、缶、紙コップ「投げ捨て」被害8年間(KOREA WAVE、2024.12.4)
KOREA WAVEのこれらの記事には、結末が書かれていません。
その後どうなったか知りたいところです。
結末をご存じの方は、当会ホームページのお問い合わせ欄からその旨ご教示くだされば幸いです。
日本でも行政による対応を可能に
タバコ事業に対して歴史的に似た背景を持っている韓国と日本ですが、タバコ事業が完全に政府から切り離されている韓国では、タバコ規制がかなり戦略的に、さまざまな観点から行われているように見えます。
住宅でのタバコ問題では、間接喫煙による被害を紛争として位置づけ、行政や共同住宅の管理主体が介入できる仕組みが構築されています。
日本では、行政に対応する窓口もなく、行政や管理主体に対応を義務づける法律もありません。
当会では、地方自治体に対して、相談窓口の設置や行政が介入できる仕組みの構築を求めていきます。
また、それと併せて、禁煙の共同住宅の普及や公社・公営住宅(賃貸物件)の禁煙化が進むよう、関係機関に働きかけを行います。
【お願い】
この記事は、韓国語を自動翻訳した記事を参考にし、記述した部分があります。
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