第4次兵庫県受動喫煙防止対策検討委員会の第1回委員会の傍聴後、当会では兵庫県が2023(令和5)年に実施した第2回県民モニターアンケート調査「受動喫煙対策について」の回答の一部を、兵庫県に対して公文書開示請求しました。
本年1月5日に当ホームページに公開した「第4次兵庫県受動喫煙防止対策検討委員会・第1回委員会の資料からわかること」で推測したとおり、住宅での受動喫煙被害に遭い、困っている人が一定数いると明らかになりました。
選択肢にない「居住空間屋外」が上位4番目に
当会では、県民モニターアンケートの結果から、回答選択肢(図1)にないにもかかわらず、回答の集計結果で上位4番目に「集合住宅のベランダや庭など居住空間屋外」が挙がっている(図2)ことから、住居での受動喫煙被害について記述した人が一定数いると推測し、自由記述欄の内容がわかる文書を開示請求しました。
自由記述欄に記された住宅での受動喫煙被害
開示された文書を調べた結果、自由記述欄の記載件数は59件で、そのうち、住宅での受動喫煙被害に関する14件の記述がありました。
以下にご紹介します(原文ママ。ただし、個人が特定されないよう配慮した箇所あり)。
集合住宅の居住空間内にほかの世帯からの煙が入ってきた
隣家の換気扇から出てくる
窓を開けて涼んでいたら、隣の家の人が外で喫煙した煙が入ってきて臭かった
マンションに隣接した会社の喫煙所がベランダの下にあり休憩する度にタバコの煙が室内に困っています
戸建てでも、室内で窓を開けていると、隣の住民がベランダで吸っているタバコの煙が頻繁に入ってくる
近所
家で吸えないので、家の外で吸ってる
〇〇の隣の家が玄関で喫煙するため、喫煙者がいなくなってもいつまでも臭いや息苦しさが残っている
隣りの方が、、換気扇の下でタバコを吸っていると思われます。換気扇の配管が廊下側にあるため、玄関の周囲はタバコの臭いが充満しています
自宅で窓を開けた時に隣りの煙が入ってきた
近隣の家の人が自宅の庭で喫煙している
在宅中に周辺の隣家から漂ってきた
飲食店に囲まれた場所に自宅が有り排気講や店の外で喫煙する喫煙者のタバコの煙が自宅のベランダや窓に流れてくる
近所の人が外に出てタバコを吸うので、その煙が自宅内に入ってくる
家人は吸わないが隣家のご主人が吸われた時にタバコの匂いが窓から入ってくる
記入者の概要
開示された文書は、「自由記述内容」「性別」「年齢(年代:筆者註)」「職業」「住所(地域:筆者註)」がわかる形でまとめられていました。
住宅での受動喫煙被害について書かれていた14件の、記入者の内訳は以下のとおりです。
- 性別 男性
4件
女性10件
- 年齢(年代) 30代
2件
40代4件
50代1件
60代5件
70代2件
- 住所(地域) 神戸
6件
阪神南1件
東播磨5件
淡路1件
丹波1件
住宅での受動喫煙に対応する相談窓口の設置を求めます
当会では、兵庫県の県民モニターアンケートの自由記述欄の内容を事例ごとに分析した結果、住宅に関する記述が14件で最も多く、無視できない件数であると考えています。回答選択肢中にない被害について記述することは、とても困っていることの反映かもしれません。
おそらく、兵庫県もこの結果を無視することはできずに、選択肢にない回答ながら棒グラフに反映させたものと推測しています。
施設での受動喫煙対策や被害には、健康増進法の改正により、自治体に相談窓口が設けられて保健所が対応する体制が十分とは言えないまでも整えられました。
職場での受動喫煙対策や被害には、労働安全衛生法の改正により、労働基準監督署が窓口になり対応しています。
しかし、住宅での受動喫煙被害の場合、対応する窓口もなく、行政が介入することは稀です。
施設や職場と同様、住宅での受動喫煙被害も個人での対策や対応には限界があります。住宅での受動喫煙の相談に対応できる窓口の設置と、適切な介入ができる体制を整えることが必要です。
兵庫県は「令和7年度に厚生労働省が予定する改正健康増進法の見直し検討の方向性を踏まえて、条例の見直しも含め、2カ年にわたり、今後の受動喫煙防止対策のあり方について検討、議論する」(案)としています。
兵庫県に限らず、おそらくほかの自治体も厚生労働省の動向を見ながら対応を決めるものと考えられまので、まずは厚生労働省に見直しの検討に入ってもらうことが重要です。
当会では、厚生労働省に健康増進法の見直しの検討を求めるオンライン署名を行っています。

住宅での受動喫煙被害をなくすため、
健康増進法の見直しの検討を厚生労働省に
求めます
賛同のご意思と応援の声を署名にお寄せいただき、当会の活動を後押ししてください。