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© 住宅での受動喫煙被害を考える会・兵庫

【Q5】管理会社から「居住空間は規制の対象外」と言われました

Q.質問

管理会社の担当者には、「こちらにタバコの臭いが来ないようにしてほしいです」と話しました。すると、担当者から、「ベランダは共用部なので禁煙ですが、居住空間は規制の対象外なので…」と言われてしまいました。本当に居住空間での喫煙についてはなにも規制されていないのでしょうか。

A.回答

健康増進法の構成による誤認

居住空間での喫煙については、なにも規制されていないわけではありません。

健康増進法*1で受動喫煙防止について定めている第6章は第1節と第2節で構成され、第1節「総則」では法律の基本的な事項を、第2節は施設等における受動喫煙を防止するための具体的な措置を定めています。
第40条で住宅(居住空間)は施設として受動喫煙防止措置を講じなければならない対象(行政罰の対象)から除外されていることから、「居住空間は規制の対象外」という誤認が生じている可能性がありますが、第40条を適用しないと定めているのは「この節(第2節)の規定」であり、第1節にある第27条第1項を住宅(居住空間)に適用しないとはしていません。
施設として受動喫煙防止措置を講じなければならない対象から居住空間(住宅)が除外されていることと、喫煙する人に受動喫煙を生じさせないよう配慮する義務が課されていること、この二つを分けて考える必要があります。

*1 健康増進法

「屋外や家庭など」でも課せられる配慮義務

前述の内容は、改正健康増進法の施行に際して厚生労働省が示した「改正健康増進法の体系」からも明らかです。

出典:厚生労働省「改正健康増進法の体系」(強調のためオレンジ色枠線追加)

 

この資料では、2019年1月24日に先行施行された配慮義務について、「屋外や家庭など」という区分を設け、「喫煙を行う場合は周囲の状況に配慮」と示しています(オレンジ色枠線内)。また、厚生労働省健康局長通知*2では、配慮義務の具体例として、「できるだけ周囲に人がいない場所で喫煙をすること」「子どもや患者等特に配慮が必要な人が集まる場所や近くにいる場所では特に喫煙を控えること等」を挙げています。
健康増進法第27条第1項は人(の行為)に対する規制であり、家庭や屋外においても喫煙しようとする人に付随する形で配慮義務が生じます*3。したがって、「家庭や屋外には健康増進法の受動喫煙防止に関する規定が一切及ばない」と理解するのは適切ではありません。

*2 「健康増進法の一部を改正する法律」の一部の規定の施行について(受動喫煙対策)平成31年1月22日厚生労働省健康局長通知
*3 ただし、「特定施設及び旅客運送事業自動車等(以下この章において「特定施設等」という。)の第二十九条第一項に規定する喫煙禁止場所以外の場所において喫煙をする際」と規定

居住空間を規制対象とする条例

家庭などの私的空間における受動喫煙について独自に規定を設けて、より明確化している自治体もあります。
東京都子どもを受動喫煙から守る条例*4は「家庭等において、子どもと同室の空間で喫煙をしないよう努めなければならない」、兵庫県受動喫煙の防止等に関する条例*5は「20歳未満の者や妊婦と同室する住宅の居室内(中略)においては、喫煙をしてはならない」、と定めています。
また、場所や範囲を限定しない、もしくは「いかなる場所でも」として、規制範囲が居住空間やその周辺にも及ぶと考えられる条例が、大阪府、名古屋市、寝屋川市、福山市、山形市、袋井市、南丹市、諏訪市、那賀町などで施行されています。

*4 東京都子どもを受動喫煙から守る条例
*5 兵庫県受動喫煙の防止等に関する条例

罰則がなくても配慮義務は課されている

健康増進法第27条第1項には罰則はありません。しかし罰則がないことと法律上の配慮義務がないことは同じではありません。
管理会社や管理組合などから「居住空間は規制の対象外なので、何もできません」と言われた場合には、「行政上の罰則がなくとも、住宅で喫煙する際に受動喫煙を生じさせないための配慮は義務付けられています」と、前述の根拠を示しながら伝えてください。そしてそのことを周知するように依頼してみてください。
配慮の具体的な方法は状況によって異なりますが、換気方法や喫煙場所・喫煙方法を見直してもなお近隣住戸へのタバコ臭の流入を防ぐことができない場合には、その場所・状況での喫煙をしないことも「望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮する」一つになり得ると、当会では考えています。

顧問・岡本光樹弁護士のコメント

行政上の罰則がない場合であっても、民事上の不法行為(違法な行為)になり得ることは、過去の裁判例において判決で認められています。
健康増進法第27条第1項の配慮義務には、喫煙しない配慮も含まれています。