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© 住宅での受動喫煙被害を考える会・兵庫

No.001 ご近所との関係性の難しさを実感

受動喫煙の状況

自宅前の道路を挟んだ斜め向かいの家の住民が、定年退職後に玄関前に出てタバコを吸うようになりました。
しだいに喫煙の回数が増え、間隔も短くなっていきました。

受動喫煙を避けるため、帰宅時にその住民が玄関先で喫煙していると、吸い終わるまで遠くでしばらく待つことになりました。部屋でタバコ臭を感じることも多くなり、頭痛や吐き気がするようになりました。

初動

家族に受動喫煙の話をしたところ、タバコの臭いで困っていることは理解してくれました。
家族の一人は、喫煙室掃除の悪臭や皮膚刺激に耐えられず、清掃の仕事を辞めざるを得なかった経験をしています。

それでも、「近所付き合いのこともあるので、直接お願いに行くのははばかられる」といわれ、ご近所との関係性の難しさに、どうすればよいか困ってしまいました。

町内会に相談


町内会に頼んでみようと、町内会の会議の時に事情を説明しました。
しかし、「喫煙は個人の問題で、町内会が個々人の家のことには立ち入れない」と言われました。

その時、同席していた警察関係者から、「タバコの臭いがした時には通報してよい」と言われました。被害について聞き取りをしてくれたり、喫煙者に困っている事情を伝えてくれることもあるとのことでした。

自治体に相談

私の住んでいる自治体には受動喫煙防止条例がありますが、歩行喫煙(自転車等の乗車中も含む)と吸い殻のポイ捨てが禁止されているだけで、指定地域以外では路上で立ち止まって喫煙することが禁止されていません。

自治体窓口に相談に行くと、自治体でできることはないが、自治体作製の啓発シールを自宅の塀に貼ることは可能と言われ、歩行喫煙禁止とポイ捨て禁止のシールをもらうことができました。 

自宅の塀に何枚か貼りましたが、効果はありませんでした。
受動喫煙が度重なるうちに、頭痛や吐き気のほか、鼻や喉の痛みにも見舞われるようになり、咳も出るようになりました。

タバコ問題の勉強会に参加

今後に備えて、受動喫煙に遭った日時や状況の記録(写真・メモ)をとるようにしました。

解決方法を調べるうちに、自宅からさほど遠くない場所でタバコ問題の勉強会が開催されていることがわかり、参加しました。

内容証明郵便の送付

勉強会で知り合った弁護士から、「斜め向かいの住民に『自分の喫煙が受動喫煙を生じさせている』ことに気づいてもらうには、被害が生じていることを伝える必要がある」と言われました。

直接伝えることは難しかったので、その弁護士に依頼し、受動喫煙を生じさせないよう

  • 玄関前の路上で喫煙しないこと
  • 被害者宅の周辺道路で喫煙をしないこと

を記した内容証明郵便を送ってもらいました。

結末

内容証明郵便を送ってから、斜め向かいの住民からの受動喫煙は軽減しました。

しかし、被害が完全になくなったわけではありませんでした。
しばらくすると、再び路上でタバコを吸い始めましたが、ほどなく姿を見かけなくなりました。病気になってタバコを吸えなくなったと、人づてに聞きました。

今、振り返って…

喫煙者が病気になったことで受動喫煙の被害はなくなりましたが、これは偶然の結果であって、被害が軽減したと実感できたのは、弁護士から内容証明郵便を送ってもらった直後だけでした。
ご近所との関係を良好に保ちながら受動喫煙問題を解決することはとても難しく、法律の整備を進めて、行政が適正に介入できるようにしてほしいと思っています。